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大切な存在を忘れずに

現在、私たちは、何かあるとすぐに写真を撮って思い出を保存することができます。大事な人の面影、素敵な出来事、楽しい時間……。それらは、パシャっとシャッターを押すだけで、紙やデータに半永久的に焼き付けることができます。しかし、そんな現状に満足して、かえって一瞬一瞬の大切な出来事を心に刻み込むのを忘れてしまってはいないでしょうか。親鸞聖人の書いた次の和讃をご覧ください。

「阿弥陀仏の名前を呼び、信心をいただく人は、いつでも阿弥陀仏のことを忘れずに、そのご恩に報いていく」という意味です。和讃の中に「憶念」という言葉があります。これは、「いつまでも深く覚えていて、絶対に忘れない」という意味の言葉です。写真もスマートフォンもなかった時代では、大事なことは忘れないようにひたすら自分の心に覚えこませ、保持し、ことあるごとに思い出すしかありませんでした。そう考えてみると、写真での記録が容易になった現代において、憶念という言葉の深い味わいが身に迫ってきます。とはいえ、人間は忘れっぽい生き物。そんな時には、写真を見返したり、お念仏を称えることで、大切な存在をいつまでも思い返し、温もりを感じられる人生を歩んでいきたいものです。



【和讃とは】
仏や経典などに対してほめ讃える讃歌です。
このホームページでは親鸞聖人の書いた「三帖和讃」等を中心に紹介していきます。

※今回の和讃は「正像末法和讃第五首」(作:親鸞聖人)より