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小説「親鸞」


「青春の門」をはじめ数々の名作を世に生み出してきた小説家・五木寛之。親鸞と出会い半世紀の時が経ち、満を持して著したのが本作である。新聞連載時から話題を集め、シリーズ累計100万部を超えるベストセラーとなった。書き終えた際に、五木は「『親鸞』という存在がこの世にいたことを多くの人々に知ってもらっただけでも、十分に仕事をした甲斐があった」と述べた。その言葉通り、親鸞や仏教に詳しくない入門者から上級者までが楽しめる間口の広い読み物として仕上がっている。大筋の歴史的事実は押さえつつも、史料に書き残されていない部分には小説家ならではの豊かな想像力を元にしたエピソードが描かれ、さらに、個性あふれる架空の登場人物の数々が作品を魅力的に仕立てるスパイスとなっている。ヒューマンドラマのようにホロリとしたり、アクションドラマのようにスリリングな場面展開にハラハラしたりと、読者を最後まで飽きさせないエンターテイメント作品としてするりと読み終えてしまうだろう。


講談社文庫/562円(税抜)