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今に生きる親鸞 吉本隆明

「最後の親鸞」を執筆した吉本隆明がより平易に親鸞を紹介し、解説してゆく本書。吉本の親鸞との出会いから、親鸞の生涯、思想、言葉、さらに現代社会で親鸞の教えがどのように息づいているかにまで話はおよぶ。本書全体を通して浮かび上がるのは、ありのままの現実を見据え、真理の追究に妥協のない親鸞である。天災や飢饉に度々見舞われる当時の厳しい社会状況を見つめながら、民衆を救済する仏教とはどうあるべきか、人間とは何かを模索した親鸞。彼の本質を見抜く鋭い洞察力と明晰な思考が、吉本の解説で丁寧かつわかりやすく記述される。善と悪、「知」と「愚」、生と死に至るまでの親鸞思想の骨格が徐々に姿を現してゆく……。本書を読み通せば、なぜ、親鸞が出色の思想家とよばれるのか、その答えも見えてくるだろう。



講談社+α新書/740円(税抜)