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親鸞「四つの謎」を解く 梅原猛


90歳。その歳に、親鸞は亡くなった。そして、その歳になった2014年、梅原猛は、親鸞の真実に迫ろうと決心した。もともと体が弱く、3度の癌を患った自分がこの歳まで生きたのは奇跡のようだと語る梅原猛は、70年以上もの間、親鸞の書を愛読し、親鸞についての本も書いてきた。しかし、親鸞という存在がよくわからなかったという。親鸞とは16歳で初めて出会った。京都大学の哲学科に入ると、難解な「教行信証」を解説書頼りに紐解いた。以来、不安や絶望に襲われるたびに、この書を開く。そして90歳を迎え、今日まで生きてこられたのは、神仏が私に国家や人類のために何かを役立たせるためだろうとの使命感から生まれたのが本書である。ここでは長らく親鸞の研究書を読んできた梅原猛がどうしても納得のいく答えが出せなかった親鸞にまつわる4つの謎を解いていく。なぜ出家したのか?、なぜ法然門下に入ったのか?、なぜ妻帯したのか?、なぜ自分に異常なほど罪の意識をもっていたのか? 謎を解く鍵は、三重県の専修寺に伝わる、学会からは異端の書として見捨てられていた親鸞の伝記「親鸞聖人正明伝」。そこには、親鸞が東国布教に際し、怨霊を鎮魂したなどという怪異談が記述されているが、荒唐無稽な話であるため、これを理由に多くの学者から正統な伝記と考えられていない。一方で、その怪異な話が語られることがかえって真の親鸞をあらわしているのだという独自の説を展開していく。謎の解明にあたり、90歳の梅原猛は京都に住みながら、自ら親鸞ゆかりの寺院を三重へ、栃木へ数多く回った。彼を駆り立てるエネルギーの源泉は、きっといままでつらいときに心の支えとなった親鸞の教えに対する感謝の念であろう。だからこそ、自らの信じる親鸞像を自らの手と足を使って書きあらわすことに並々ならぬ執念を燃やしたのである。本書を読めば、いままで見聞きしたことのない本当の親鸞の姿が見えてくる。



新潮社/新潮文庫 840円(税抜)