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はじめての親鸞 五木寛之

2014年まで足掛け7年、五木寛之が新聞で連載した小説『親鸞』は大きな話題を呼んだ。翌年、親鸞をテーマに五木がおこなった教養講座での講義が、本書のもととなっている。その講義のタイトルは、「人間・親鸞をめぐる雑話」。親鸞の生涯、人物像、教えのみならず、親鸞の生きた時代のリアルをありありと描いたり、ブッダにその姿を重ね合わせてみたりと、謎多き人物といわれる親鸞についてさまざまな切り口で語ることで、徐々に親鸞という存在が浮き彫りになっていく。小説家ならではの映像が浮かびやすい表現、現代の人にもわかりやすい例え話で想像がかきたてられ、自然と親鸞への興味が湧いていく。また、法然、蓮如をはじめとした親鸞と関連する人物にも踏み込み、親鸞の教えがうまれ、現代に広まるまでのプロセスも書かれる。さらに「教行信証」に対する見解など、五木の長年にわたる研究、想像をもとに展開される独自の説も見どころだ。親鸞について「はじめて」の人でも、読み通した暁にはその輪郭を確かにつかみとることができる1冊である。



新潮社 / 新潮新書 700円(税抜)

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