人生を左右する出会い

親鸞聖人は比叡山での20年間の修行を経て法然上人を訪ねましたが、これは親鸞聖人90年の生涯でももきわめて重要な出来事といえます。その後の親鸞聖人の人生が大きく動き出すことになるからです。そんな師、法然聖人を親鸞聖人が讃えて詠った次の和讃をご覧ください。

大意は、「まちがいのない悟りへと導いてくれる真の仏法者と巡り会うことは、とても難しいことです。人々がどこまでも迷い、そこから抜け出すことができないのは、阿弥陀仏の本願を疑う迷いの心が妨げとなっているのが根本の原因です」。この和讃では、まず、親鸞聖人が法然上人に巡り会えたことへの感銘を表現しています。そして、法然上人と出会ったことで、真の救いのためには阿弥陀仏の本願をたよりとするほかないという思いが確信に変わったことをあらわしています。まさに、人生を決定づけるターニングポイントが、親鸞聖人にとっては法然上人との出会いだったわけです。このように、ひとつの出会いが人生を180度変えることは、数こそ多くないかもしれませんが、きっと誰にでもあることではないでしょうか。限りある人生の中の限りある出会い。そのひとつひとつに感謝しながら、日々を過ごしていきたいものです。



【和讃とは】
仏や経典などに対してほめ讃える讃歌です。
このホームページでは親鸞聖人の書いた「三帖和讃」等を中心に紹介していきます。

※今回の和讃は「浄土高僧和讃」（作：親鸞聖人）より