南無阿弥陀仏は双方向

「南無阿弥陀仏」と口に出して称えること。これを、念仏といいます。「阿弥陀仏を信じます」という意味ですが、一般的に、念仏とは阿弥陀仏に対して一方的に称えるだけのものというイメージがあるのではないでしょうか。実は、違うのです。

「正像末法和讃」にある和讃です。「阿弥陀仏と観音・勢至の両菩薩が、大きな救いの船にお乗りになり、迷いの海にこの船を浮かべて私たちを呼び続け、乗せてくださいます」という意味です。「衆生をよばふて」とあります。これは、私たちが「自分は煩悩にとらわれ迷いから抜け出せず、阿弥陀仏の本願の他に救われる道がない」と気がつくまで、阿弥陀仏が「私にまかせなさい。必ず救ってみせます」と何度も呼び続けることをあらわしています。つまり、南無阿弥陀仏と称えるそのとき、同時に、阿弥陀仏から「あなたを救ってみせる」というよびごえがあるというわけなのです。私たちと阿弥陀仏の間で交わされるこの双方向的なコミュニケーションこそが、「念仏」なのです。あなたも、念仏を称え、阿弥陀仏から届く声にそっと耳を澄ませてみてはいかがでしょうか。