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親鸞からの手紙 阿満利麿

「阿弥陀仏の誓願をただ信じさえすればいい」という絶対他力信仰。親鸞の弟子の中には、修行をやらずに本当に悟りに至れるのだろうかと、その教えに素直に従えない者もいた。そんな弟子たちの抱く教義への疑問に、親鸞は筆をとってこたえる。弟子たちと交わした手紙は、現存するもので全42通。現代語訳とわかりやすい解説で、親鸞の心中に迫る。「自力」と「他力」のちがい、信心のあり方とは…。また、本書では「善鸞事件」のドラマチックな展開を見ることができる。善鸞事件とは、親鸞の息子である善鸞が親鸞の教えに反した言動をとり、念仏者の間に混乱が生じたという事件。結果、親鸞は善鸞と縁を切ることになるが、この事件の発端から解決までの過程のリアルがまざまざと立ち上がってくる。弟子たちの信仰における悩みや考えにこたえることで浮かび上がる、親鸞の教えの真髄。親鸞への理解をいっそう深めるのに役立つ1冊である。



筑摩書房 / ちくま学芸文庫 1200円(税抜)