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⑩ 親鸞聖人の結婚

「親鸞聖人繪傳」専修寺関東別院 所蔵

京都から越後へとたどり着いた親鸞聖人は、そこで、流人の生活を始めます。最初の一年は、一日につき米一升と塩一勺が支給されましたが、翌年春に種モミをもらって秋に収穫が始まると、米や塩の支給も停止され、自給自足しなければなりません。それは、鍬や鎌を握ったこともない貴族出身の親鸞聖人にとっては困難なことでした。京都での生活に比べてはるかに辛く苦しい日々を送る中、ある時、転機が訪れます。恵信尼(えしんに)との結婚です。なぜ、親鸞聖人は恵信尼という越後の豪族の娘を選んだのか。親鸞聖人が農耕生活などできそうになく、生きていくために地主の娘と結婚せざるを得なかった。あるいは親鸞聖人に備わった都会的な高い知性と教養が田舎豪族の心を惹きつけたのだ等諸説あります。恵信尼は、彼女自筆の手紙から、文才があり、字も達筆で当時として最高の教養を身につけた女性であったことがわかります。親鸞聖人に心から傾倒していた恵信尼。彼女との結婚生活は、きっと幸せそのものだったのでしょう。