どんな苦しみからも救う念仏
仏教には、「四苦八苦」という言葉があります。これは、人間の苦悩を分類したもので、生・老・病・死の四苦に、愛別離苦(親愛なる人と離別する苦)、怨憎会苦(憎悪する人と会う苦)、求不得苦(求めても得られない苦)、五陰盛苦(心身が思うままにならない苦)を合わせたものをいいます。人は、これらの苦しみの真っ只中にいながら、それに気づかずに、あるいは、気づいても人生とはそういうものだと諦めながら生きています。
和讃の大意は、「苦しみの海の真っ只中にいて、その海の中に沈んでいる私たちを救い、船に乗せ、浄土まで運んでくれるのは阿弥陀仏のはたらきによるものです。そして、そのはたらきに応えて称えるのが念仏です」。和讃の中の「生死の苦海」という言葉は、常に苦しみに浸かり、溺れる人間のさまをあらわしています。絶望的ともいえる苦しみの中に生きる私たちはどうすれば救われるのか。親鸞聖人は、その唯一の方法は、念仏を称えることだといいます。念仏を称えれば、阿弥陀仏が私たちを苦難の海から救い上げ、決して沈むことのない船に乗せ、浄土の岸まで運んでくれます。そして、私たちは苦悩に満ちた大海原を、安らかな心で漕ぎ出すことができるのです。念仏を称えることで、人生を力強く歩んでいきたいものです。
【和讃とは】
仏や経典などに対してほめ讃える讃歌です。
このホームページでは親鸞聖人の書いた「三帖和讃」等を中心に紹介していきます。
※今回の和讃は「浄土高僧和讃」(作:親鸞聖人)より