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「勿体ない」がもったいない。

ごはんをこぼすと「もったいない」。まだ使えるものを捨てるのは「もったいない」。大事なものを失くして「もったいないことをした」などと言われてきました。漢字では「勿体ない」と書きます。本来そのものが持っている値打ちが生かされず、無駄になることが惜しいという意味です。ノーベル平和賞を受賞されたケニアの環境大臣マータイさんが来日された時、「節約・再利用・再使用・修理という4種の意味を日本では”もったいない”という一言(ひとこと)で表現している。すばらしい」と感じて、国連の委員会で演説しました。このことが契機になって、死語になっていた「もったいない」の言葉を再認識しようという評論がふえてきました。

私たち仏教徒は、この「もったいない」心をどう受け取ればよいのでしょう。親鸞聖人の教えに尋ねてみると、次のようなご縁でいただけるのではないかと思います。その第1は、人の命を賜ったことです。何はさておき、三悪道(地獄・餓鬼・畜生)をはなれて、人間に生まれてきたことは、何にもかえがたい有り難いことであります。もったいないことです。その第2は、真宗念仏の教えに遇えたことです。この因縁は、いくたび生を重ねても容易にあえるものではないから、遠く前世からの宿縁を慶びなさい。お念仏の教えだけが、お浄土に通入するみちですからと説かれています。もったいないことであります。命と教え、二つの値打ちを活かして、日々、まいりましょう。