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高田派の作法⑤「年回法要」

 
 
「法事と年回法要は、どうちがうのか」。そんな質問を寄せられることがあります。法事とは、仏の教えである仏法の行事のことです。これには、報恩講や永代経がありますが、その中の一つとして故人の命日に供養を行う年回法要(以後、年回)があります。ところで、この年回は、はたして法事になり得ているのでしょうか。いま一度、年回を勤めることの意味を考えてみましょう。
真宗の法事としては、年回を、いま生きている人が亡き人の冥福を祈り、お経を読んでもらい、そのあと、飲んだり食べたりするだけのことと捉えません。
死者の冥福を願うあたたかい心を縁として、さらに深い真実、すなわち仏法にあわせていただくことこそ大事であると考えます。
亡き人の命日には、日頃お参りしなくても、お花を替えたり、お供物をあげたりしてお参りする気持ちになるものですが、この心を大事にし、亡き人を偲びつつ、読経の中で静かに自分の生きざまを見つめ直すことが年回の根幹なのです。
親鸞聖人は、亡き人々を諸仏(しょぶつ)として敬いましたが、私たちも同様に勤め、亡き人の導きによってあつまった一同がお念仏の信心を深めることに意義をもちながら、真に「法事」といえる年回に臨みましょう。